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ダン・タイ・ソンのピアノ演奏会



ダン・タイ・ソンは、1980年、第10回ショパンコンクールで、東洋人として初めて優勝し、最近は、毎年のように日本で演奏会を行っている実力派のピアニストです。

5年に一度行われるショパンコンクールで優勝することは、一流のピアニストとしての活躍の場を与えられたという証しなのですが、来日するたびに、気にはなっていたものの、今まで彼の演奏を聴く機会にめぐり会えませんでした。


前から一度聴いてみたかった「ダン・タイ・ソン」。
6月26日、念願かなって、四ツ谷の紀尾井ホールに聴きに行ってきました(^_-)-☆。


ダン・タイ・ソンは「ショパン弾き」と言われているように、コンサートで演奏する曲目は、ショパンの作品が圧倒的に多いようなのですが、今年は、「ドビュッシー生誕150年」ということもあって、この日のプログラムは「オール・ドビュッシー」でした。

「オール・ドビュッシー」というプログラムは、一般的には「華がなくて、盛り上がりに欠けて、ちょっとつまんないわねえ」と敬遠されがちだと思いますが、その日の会場は、「彼のドビュッシーを聴きたいのよ」と、ダン・タイ・ソンの演奏会は何度も聴きにきているらしい、ベテラン的(?)雰囲気が漂っていました(笑)。

演奏は時間通りに始まりました。

繊細で陰影に富んだ透明感のある音色は気品があって、目を閉じて聴いていると、まるで印象派の絵画が目の前に現れてくるような、音が絵画になっていく感じがしました。

しかも、最後まで途切れない凄まじい集中力を持続した演奏は、どの曲もほんとうにすばらしいものでした。

私の右隣に座っていた男性は、演奏中、ずっと自分の指を、まるで一緒に弾いているかのように動かしていて、プログラムが終了したときは、私の右耳が痛くなるほど力いっぱい拍手していました(割れんばかりの拍手というのは、こういうのかと思うくらい(^_^;))。

私も、気持ちを伝えたくて、手を上の方に挙げて拍手しました。立ち上がって拍手する人もたくさんいました。

そして、アンコールの1曲目は、ベルガマスク組曲より、とても有名な「月の光」、2曲目は、前奏曲第2集より「花火」でした。

これらのアンコール曲もとてもすばらしく、興奮した観客席は、「もう1曲」と盛大な拍手を送りましたが、ダン・タイ・ソンは、手を胸にあてて、「どうもありがとう。でも、今日はこれで終わりにさせてください」とでも言っているようなしぐさを何度もして、やっと演奏会は終わりました。

ほんとうに気持ちのいい演奏会だったなあ。余韻がずっと残りました(*^_^*)。

            
                      ~♪♪♪~


ダン・タイ・ソンについては、ショパンコンクールで優勝したこと以外は、あまり詳しいことを知らなかったので、次の日、どういう少年時代を送ったのかなあ、と知りたくなって、ネットで情報収集をしてみることにしました(^-^)ゞポリポリ。

彼の経歴は、なかなか興味深いものでした。

ダン・タイ・ソンは、ベトナムのハノイ出身で、ピアノは、ハノイ音楽院の教師をしていた母親から習ったそうです。ただ、その頃のベトナムは、戦禍の真っただ中で、ピアノを練習するのはかなりたいへんだったようです(私は、名前の感じから、つい最近まで、彼は中国人だとばかり思っていました。ベトナム人だったのですね(恥ずかしい(^_^;))。

一家で山奥へ疎開したときは、ピアノをえっちらおっちらみんなで疎開先に運んだり、防空壕で生活を余儀なくされたときは、紙に鍵盤の絵を描いて練習していた、という「紙鍵盤伝説」もあります。

その後は、旧ソ連の名門モスクワ音楽院に留学することになりましたが、恵まれない環境であったにもかかわらず、大きな夢を持ち続けながら、ピアノに向かう気持ちを持続させ、その結果、ショパンコンクールで東洋人初の優勝という快挙を成し遂げた、と説明されていました。

更に、ネットで調べていくと、アメリカの大学教授(日本人)が書かれているブログで、興味深い記事を見つけました(^_^)v。

そのブログによると、ベトナム戦争終戦40周年にあたる2015年の公開を目指して、ダン・タイ・ソンのドキュメンタリーができることになった、とありました。

そのドキュメンタリーの制作資金を募る会が5月に開かれ(ウワー、アメリカらしい^^)、その会で、ダン・タイ・ソンがシューマンやショパンを弾いたのですが、そのあとに、お母さまと連弾を披露されたとのこと。

お母さまは93歳にもかかわらず、今でもかくしゃくとされていて、この日は1曲で終わる予定が、アンコールでジャズを弾かれたそうです。


このドキュメンタリー、日本でも放送されるのでしょうか。放送されたら、是非見てみたいです(^_-)-☆。



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最近のダン・タイ・ソン。30年前にショパンコンクールで優勝したときは、やせっぽっちでトンボのようなメガネをかけていて、好感度はあまりよくありませんでしたが(ビジュアルも大切^^)、歳を重ねるごとに充実したいいお顔になっています(#^.^#)。


★この日の演奏曲目は、「版画」、「2つのアラベスク」、「映像第1集」、「喜びの島」、「前奏曲集第1巻」でした。


★ドビュッシー作曲 「映像第1集」から「水の反映」 (演奏:ダン・タイ・ソン)

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by bananadebu | 2012-07-01 11:36 | 音楽・美術